よくある質問

プログラミング教育を各学校が進める上で必要な教材はありますか。

小学校の場合は,授業の中でプログラミングを体験できる教材が必要です。

また,中学校の場合は技術・家庭科 技術分野(以下,技術分野)の授業において,ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングを制作することのできる教材と,計測・制御システムの製作とそのプログラムを制作することのできる教材が必要です。

さらに,高等学校の場合は,テキストプログラミングや中学校と同様,計測・制御のできる教材を学習で使用することが想定されます。

具体的には,次の点に留意する必要があると思います。

小学校は,プログラミングの体験を通して,プログラミング的思考や各教科の論理的思考力を育成することが目的となっています。
学習指導要領の解説を読んでいくと,プログラミングの体験として,コンピュータでプログラムを制作してその結果を確かめる体験,プログラムで電気を制御する体験,身の回りのコンピュータで制御されているもののプログラムを制作する体験,カード等を利用して手順を並び替える体験等が例示されています。
このことから,画面上で動作を確認できるプログラミングの教材,プログラムにより電気的な制御を行うことのできる教材,カード等の紙教材の準備が予想されます。
画面上で動作を確認できるプログラミングの教材は,無料のものも様々提供されていますので,自治体や学校のPC教室や可動式コンピュータの動作環境,導入時の教員の負担,行いたい授業に合致する機能を有しているか等と,予算を勘案して導入を検討することが考えられます。
一方,電気的な制御を行う教材には,現在沢山の種類があります。どれを選ぶか迷うところだとは思いますが,自治体の先生方が実施したい授業を第一に,その条件を満たす教材を選定し,導入を進めるとよいでしょう。
またこのとき,「小学校教材整備指針」(令和元年一部改訂)を参考に、地方財政措置や理科教育設備整備費等補助金などを活用するとよいでしょう。

その他、指導要領解説の中では、カード等を利用して手順を並び替える体験等も例示されており、それらに用いるカード等の紙教材の準備が予想されます。しかし、Q1「プログラミング教育では必ずコンピュータを使った授業をしなければならないのでしょうか?」の回答にもある通り、それらを使った授業のみでプログラミング教育が完結しないよう,留意してください。

中学校は,技術分野の指導要領本文に,学習しなければならないプログラミングに関わる活動が明記されていることから,教材の準備は必須となります。
学習指導要領の解説から,次の2つの学習を行う上での要件を満たした教材を準備することが必要となることが分かります。
ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングでは,2台以上のコンピュータ間で通信をした上で,画面上で複数のメディアを統合的に制御するプログラムを制作することのできるプログラミング教材を準備します。この要件を満たす教材は,現時点(令和元年10月)では大変少ない状況です(例えば,scratch1.4やドリトル,なでしこ等が実現可能です。)。また,各自治体や学校のPC教室や可動式コンピュータの動作環境や通信環境,規約も制約条件になると考えられます。今後でてくる教材や,授業事例を参考に検討する事が考えられます。

計測・制御システムの製作とそのプログラムの制作では,センサ,アクチュエータが実物としてあること,その構成や動作の仕組みを生徒が設計し製作できること,その制御プログラムを制作できること,という要件を満たす教材を準備します。現行の指導要領での計測・制御のプログラミング用の教材は多々ありますが,新学習指導要領での要件を満たす教材というと,現時点(令和元年10月)では高価なものが多い状況です。しかし,各会社も様々な教材を開発しています。そのため,学習指導要領の指導要件をきちんと満たす授業を実現できるかどうかを基本に,ものによっては自治体単位での導入を検討した方が良いでしょう。

中学校の学習指導要領全面実施の令和3年には授業が実施できなければなりませんので,令和2年度に検討する予算組みまでには,どのような教材を導入するか検討しておきたいところです。ただ,技術分野の教材の場合,学習指導要領を実施するために必要な教材・教具への国からの補助金を充てる事ができます。これらを上手に利用するとよいでしょう。

高等学校では、文部科学省の公開している研修資料で、micro:bitと、それをPython で動作させるオフライン環境のエディタとして,Mu、そして、そのインストール厳しい場合としてのオンラインエディタMicroPythonを紹介しています。そのため、Q4「プログラミング教育を各学校が進めるために,どんな環境整備をすれば良いのですか。」の回答と併せて、これらの教材の整備をすることがまず考えられます。また、これ以外にも、学習指導要領の要件を満たす授業展開に必要な教材も様々存在します。小学校の場合と同様、自治体の先生方が実施したい授業を第一に、その条件を満たす教材を選定し、導入を進めるとよいでしょう。

その他,プログラミング教育は全ての教科を通して育成すべきものであるため,学習指導要領への記載事例を超えて行うことも考えられます。そのために,各自治体でのプログラミング教育の推進計画等をぜひ立ててほしいと思います。その時,小・中・高の系統性を考えて計画するとともに,教材の準備を行う事も考えられるのではないでしょうか。

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