よくある質問

プログラミング教育では必ずコンピュータを使った授業をしなければならないのでしょうか?

プログラミング教育では,適切なカリキュラムマネジメントの下,基本的にはコンピュータを使った授業を行うことが想定されています。

しかし,いわゆるプログラミング的思考の育成だけがクローズアップされることで「論理的思考を育てれば良いのだ」「論理的思考を育てていればコンピュータを使った授業をしなくても良いのだ」と取られかねない偏った意見を耳にすることもあります。

確かにプログラミング的思考は,コンピュータを用いた授業のみで育成されるものではありません。コンピュータを使わない「アンプラグドコンピューティング」の教材等にも大変優れたものがあり,それらを様々な教科の学習の適切な場面で活用することがプログラミング的思考の育成につながることでしょう。しかし,プログラミング教育のねらいは,それだけでは達成することができません。

小学校学習指導要領の総則では次のように示されています。

(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

この内,(3)イの文章だけがクローズアップされがちですが,(3)全体の文章を正確に読み解くと「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。」とあり,この内容項目として,いわゆるプログラミング的思考の育成が規定されていることがわかります。つまり,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用した学習活動として,プログラミング的思考を育成する学習活動が設定されているのです。

プログラミング教育の目標は論理的思考の育成のみならず「プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめとする情報技術によって支えられていることなどに付き,身近な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育むこと(小学校学習指導要領総則の解説より抜粋)」となっています。これらの資質・能力の育成では、コンピュータを用いたプログラミングの体験が欠かせません。

全ての教科を通じてプログラミング教育を推進する中では,アンプラグドコンピューティングの教材で授業を行った方が,教科の特性に適し,児童の発達の段階に応じていることもあるでしょう。

しかし、最終的には「コンピュータを用いたプログラミングの体験」を行わせる学習活動に結び付け、児童生徒がプログラムの働きの良さに気付いたり、コンピュータを用いた問題解決を行おうととする態度を涵養できるよう、カリキュラムマネジメントをしてほしいところです。

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